コラム

代表取締役を辞任するときの流れとその方法

ある株式会社の代表取締役から,実質的経営者との関係が悪化し,代表取締役を辞任したいが,実質的経営者にとりあってもらえないとの相談がありました。 代表取締役を辞任するときの流れ,方法について回答します。

1 辞任届を誰に提出すれば,辞任の効力が発生するか

辞任する代表者本人は会社と利益が相反しますので,辞任届を受領できません。代表者以外の取締役に辞任届を提出することは可能です。従業員に対して辞任届が手渡され,会社経営に関与する幹部にも報告されたことをもって,辞任の効力が発生したと認められた事例があります(仙台高判平成4年1月23日)。

2 辞任した後,退任登記できるか

辞任後であっても,登記上の代表者であれば,対第三者から会社の代表者と認識され,会社を被告とする訴訟に巻き込まれる可能性があります。そのような可能性がある場合には,退任登記を行う必要があります。

もっとも,当該代表者の辞任により,法令や定款で定められた取締役の員数を欠く場合,後継の取締役が選任されて,取締役の員数が確保されるまでの間,権利義務取締役(会社法346条)としての地位が残存します。このような場合,退任登記の申請は受理されません。

当該代表者の辞任後も,法令や定款で定められた取締役の員数が確保されている場合,後継の取締役の選任を待たず,退任登記を行うことが可能です。

3 退任登記を行う方法

辞任後,会社宛に,退任登記手続きを求める通知を発送します。これによっても会社が退任登記を懈怠している場合,会社を被告として,役員登記抹消登記請求訴訟を提起します。このとき,会社を代表する者を誰にするかが問題となるところ,大阪地裁では特別代理人を選任する運用とされています。

この訴訟を認容する判決が確定すれば,会社の協力なしに,判決に基づいて退任登記を行うことが可能です。

弁護士 内本 奈緒子

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